本試験の依頼を受け、“当社”からは一人の衛生兵のプランを提出した。
衛生兵にとって、戦時の職務を全うする際には「衛生処置を行う“場”を確保すること」が最も大切であった。背中および両踵のバタフライウィングと両肩のロングソードからのエネルギー出力により飛行時の機動力を確保することで、最速での現場到着および離脱を可能とした緊急避難性能に特化することに成功した。万が一離脱が困難な場合は、ビームサーベルで周囲を凪ぎ払い、“場”を確保したうえで職務にあたることを想定している。
また、衛生兵はもう一つ、ゴム製の中距離打擲武器を選択した。球体部分にはある程度の弾性があり、ぶつけても相手は基本的に外傷を負わない。衛生兵は願う、「これ以上傷付いた者を見たくない」と。しかし、まるでネックレスのような装備方法に、役員からは「お遊びのつもりか」と罵られ、整備担当の技師からは攻撃力の補強としてウィング状のカッターを付けられ…衛生兵は嘆いた。
プレイヤーは、時おり左腰のナイフや打擲武器の持ち手に触れ、“祈る”ような姿を取る。それが誰かの遺品なのか、あるいは信仰を捧げるしるしなのか…操縦者である衛生兵は、多くを語らない。